前回まで、「ローソク足1本から上昇サイン、下落サイン、相場の転換サインについて知る」をテーマにそれぞれ解説してきました。
【参考:ローソク足から相場の上昇サインを知る!】
【参考:ローソク足から相場の下落サインを知る!】
【参考:ローソク足から相場の転換点を知る!】
今回は、その応用として
「複数のローソク足の組み合わせから、売買タイミングを知る!」
をテーマに解説していきます。
では、早速いきましょう。
酒田五法
複数のローソク足から上昇サイン、下落サインを読み取る有名な方法として
「酒田五法(さかたごほう)」
と呼ばれる方法があります。
酒田五法は江戸時代に編み出された投資の手法と、その起源は古いですが、現在でも大変効果的な投資手法(チャートの分析方法)であり、多くの投資家によって使われています。
酒田五法は大きく次の5種類あります。
2.三川(さんせん)
3.三空(さんくう)
4.三兵(さんぺい)
5.三法(さんぽう)
この5種類についてそれぞれの上昇サイン、下落サインを具体的に見ていきましょう。
1.三山(さんざん)
①三山の上昇サイン
酒田五法の1つ、三山の上昇サインの見た目の特徴は、図のように「山が2つ、谷が3つあること」です。
三山の上昇サインは、下落相場で底値付近であることを確認するために利用する分析方法です。
図のようにこの上昇サインには、谷が3つありますが、それぞれの谷の最低値が似たような価格であれば、それらの価格がこの下落相場の底値だと判断でき、その後の価格上昇への期待ができます。
特に3つ目の谷が2つ目の谷よりも浅い場合、その後の価格上昇の可能性がより高く、「買い」には絶好のタイミングだと言えます。
②3つ目の谷が2つ目の谷よりも浅い場合は、その後の価格上昇トレンド突入への可能性がより高くなる
②三山の下落サイン
先ほどとは反対に、三山の下落サインの見た目の特徴は、図のように「山が3つ、谷が2つあること」です。
三山の下落サインは、上昇相場にて、価格が天井付近であることを確認するために利用する手法です。
図のように、3つの山のそれぞれの最高値が似たような価格であれば、それらの価格帯がこの上昇相場の天井付近であることを暗示し、その後下落相場へと転換する可能性があり警戒が必要です。
特に、3つ目の山が2つ目の山よりも最高値が低い場合は、売りの勢いが増してきていることを表し、その後下落トレンドに転換することへの注意がより必要だと言えます。
②3つ目の山が2つ目の山よりも低い場合は、その後の下落トレンドへの転換がより警戒される
2.三川(さんせん)
①三川の上昇サイン
三川の上昇サインの見た目の特徴は、「下落相場で十字線が現れること」です。
図のように下落相場で突如十字線が現れた際は、その後上昇相場へと転換するサインだと言えますので、チャート上では絶好の「買いタイミング」になります。
この場合十字線ではなく、小陽線(小陰線)から上下に大きくヒゲが伸びた「コマ」が現れた場合も同様です。
②鍵となるローソク足は「十字線」だが、「コマ」でも同様の転換サインとして見ることができる
②三川の下落サイン
三川の下落サインの見た目の特徴は、先ほどの上昇サインと反対に「上昇相場で十字線(またはコマ)が現れること」です。
図にあるように、上昇相場で十字線が現れた場合は、その後下落トレンドに転換する可能性が高いため注意が必要です。チャート上では「売りタイミング」と言えます。
②鍵となるローソク足は「十字線」だが、「コマ」でも同様の転換サインとして見ることができる
3.三空(さんくう)
①三空の上昇サイン
酒田五法の3つ目の手法となる「三空」についてですが、
三空の上昇サインの見た目における特徴は「価格の下落相場において、陰線が立て続けに3つの窓を作ること」です。
「窓」というのは、「前のローソク足の終値と、次のローソク足の始値の間に空白ができること」です。上の図において丸で囲っている部分です。
窓ができるというのは、それだけ相場における価格の「下落の勢い(上昇の勢い)」が強いことを表しています。(前のローソク足の始値と次のローソク足の終値が引き離されるほど相場の勢いが強い)
そのため、陰線が立て続けに表れて窓を作ると、さらに価格が下落していくのではないかと考えたくなりますが、「三空」ではこの3つ窓を作って陰線が現れた場合は、強い売りの後に価格の上昇が見込まれるとして、「絶好の買いタイミング」と捉えます。
②三空の下落サイン
三空の下落サインの見た目における特徴は「価格の上昇相場において、陽線が立て続けに3つの窓を作ること」です。
先ほどと同様に、窓が3つもできるとそれだけ相場における「買い」の勢いが強いことを表すので、それ以降も上昇し続けるように考えたくなりますが、「三空」ではこれを、上昇が一旦終了し、下落へと転じるサインとして見ます。
相場が過熱しすぎていることを表すため、チャート上は「売りのタイミング」となります。
4.三兵(さんぺい)
①三兵の上昇サイン
酒田五法の4つ目である「三兵」の上昇サインの見た目の特徴は、「低値圏において陽線が3つ続けて表れること」です。
そして、この場合における3つの陽線に共通するのは「1つ前の陽線の終値よりも次の陽線の始値が低く、終値は前の陽線の終値よりも高いこと」です。
ただし、たとえ低値圏で陽線が3つ並んだとしても、陽線の上ヒゲが大きく伸びている場合は、「下落トレンド」へと再度戻ってしまう可能性が高いので注意が必要です。
②「1つ前の陽線の終値よりも次の陽線の始値が低く、終値は前の陽線の終値よりも高いこと」が並んでいる陽線の特徴
③ただし陽線の上ヒゲが大きく伸びている場合は、上昇相場になりきれず、再度下落してしまう可能性が高いので注意が必要
②三兵の下落サイン
「三兵」の下落サインの見た目の特徴は、「高値圏において陰線が3つ続けて表れること」です。
そして、この場合における3つの陰線に共通するのは「1つ前の陰線の終値よりも次の陰線の始値が高く、終値は前の陰線の終値よりも低いこと」です。
ただし、たとえ高値圏で陰線が3つ並んだとしても、陰線の下ヒゲが大きく伸びている場合は、再び「上昇トレンド」へと戻ってしまう可能性が高いので注意が必要です。
②「1つ前の陰線の終値よりも次の陰線の始値が高く、終値は前の陰線の終値よりも低いこと」が並んでいる陰線の特徴
③ただし陰線の下ヒゲが大きく伸びている場合は、下落相場になりきれずに再度価格が上昇する可能性が高いので注意が必要
5.三法(さんぽう)
①三法の上昇サイン
酒田五法の最後の手法「三法」の上昇サインの見た目における特徴は、「上昇相場において大陽線が出た直後に3つの小陽線(または小陰線)が並び、その後に再度大陽線が現れること」です。
「最初の大陽線の終値よりも、最後の大陽線の終値が高いこと」もその特徴になります。
上昇相場では上がり続けるだけでなく「少しの休憩を挟む」ことで、弾みがついてさらに大きく上昇できることが分かるサインになります。
②「最初の大陽線の終値よりも、最後の大陽線の終値が高いこと」もチェックしておくべき特徴の一つ。
②三法の下落サイン
「三法」の下落サインの見た目の特徴は、「下落相場において大陰線が出た直後に3つの小陽線(または小陰線)が並び、その後に再度大陰線が現れること」です。
「最初の大陰線の終値よりも、最後の大陰線の終値が低いこと」もチェックしておくべき特徴です。
下落相場では下がり続けるだけでなく「小休止する」ことで、さらにその後大きく加速して下落してしまうことが分かるサインになります。
②「最初の大陰線の終値よりも、最後の大陰線の終値が低いこと」もチェックが必要な特徴の一つ。
まとめ
以上、複数のローソク足からチャートを分析する中で最も大切な手法と言ってもいい「酒田五法」について話してきました。
前に話したローソク足1本で見る相場の上昇・下落・転換サインと並んでチャートを分析する上で非常に大切な話になりますので、ぜひ覚えておきたいところになります。
実際の相場と照らし合わせながら見ていくと、より頭にも定着しやすく効果的です。
ぜひ参考にしてみてください。
【注意】今回話したことも含めて、テクニカル分析は、100%の勝ちを保証する訳ではありませんので、利用する際はそれを踏まえて利用するようお願いします。