どーも管理人です。

ちょうど前回、プルーフオブワークについて話しましたので、(参考:プルーフオブワークって何?

今回は、そんなプルーフオブワークとセットでよく出る話題

「プルーフオブステーク(proof of stake)」

について話していきたいと思います。

ネコくんネコくん

プルーフオブワークにしろプルーフオブステークにしろ、似てて分かりづらいわあ。

そうですね。なかなか名前が似ててややこしいですが、プルーフオブワークについて理解していれば、プルーフオブステークも結構すんなり入ってくるんじゃないかと思います。

では、早速いきましょう。

プルーフオブステーク(proof of stake)とは?

プルーフオブステークはひとことで言えば、

>「ブロックチェーンにおけるブロック作成の権利を、仮想通貨の保有量に応じて与えるルール」

のことです。

言い換えると「(プルーフオブステークを採用している)仮想通貨をたくさん保有しているほど、一番最初のブロック作成者(承認者)としてみなされやすいというルール」です。

もっと厳密に言えば、プルーフオブステークにおけるマイニングは「鋳造」と言われ、「仮想通貨の保有量」「仮想通貨保有期間」を掛け算して表される「coinage」という数値が大きければ大きいほど鋳造(プルーフオブステークにおけるマイニングの意)が行いやすくなりますので、「たくさんの仮想通貨を長く持っていればいるほど有利になる」という仕組みです。

ネコくんネコくん

なるほどなあ。たしかプルーフオブワークも似た感じで1番目のブロック作成者を決めるルールだったよな。

そうですね。

プルーフオブワークも同じように1番目のブロック作成者(承認者)を決めるためのルールなんですが、その内容はプルーフオブステークとは大きく異なります。


プルーフオブワーク・・・「計算能力に優れているコンピュータを持っている人ほど、ブロックの作成が成功しやすいルール(高い計算能力がものを言う仕組み)」

プルーフオブステーク・・・「仮想通貨をたくさん保有している人ほど、ブロックの作成が成功しやすいルール(資産の保有量がものを言う仕組み)」

以上のように、1番目のブロック作成者を決める上で、有利となってくる条件がそれぞれ違います。

プルーフオブステークの魅力

プルーフオブステークはプルーフオブワークにない利点を持っています。

というよりも、プルーフオブワークで問題になっている部分を解決できる部分が大きく評価されています。

プルーフオブワークでは具体的に、以下の2点が大きな問題となっていますが、プルーフオブステークではこれらの問題を解決することができます。

①多量な電力が消費されること
②一部の組織により集中してマイニングが行われること

①多量な電力が消費される問題

プルーフオブワークでは、1番目のブロック作成者となるためにマイナーたちが高性能なコンピュータをフル稼働させるわけ(計算能力がモノを言う世界)なので、多量な電力を消費することになります。

これから先、100年以上マイニングは行われる予定なので、長期的に見るとこのような電力の消費は環境にとって配慮がなっていないとよく言われます。

これに対してプルーフオブステークでは、たくさんの仮想通貨を長期的に保有している人ほど効率よくブロックを作成していける仕組みなので、プルーフオブワークで行われるように、たくさんの高性能なコンピュータをフル稼働してマイニングを行う必要がありません。

そのため、プルーフオブステークではプルーフオブワークに比べてより環境にも配慮が行き届いた仕組みであると言えます。

②一部の組織により集中してマイニングが行われる問題

電力消費問題とは別に、プルーフオブワークでは、一部の組織によって集中してマイニングが行われてしまうという問題があります。

例えばプルーフオブワークを採用しているビットコインにおいては、中国で組織ぐるみによりマイニングが行われており、全体のマイナーの計算能力のうち、かなりの割合を現在中国が占めている現状です。

プルーフオブワークでは、全体のマイナーの計算能力の過半数(51%以上)の計算能力を保持すると、恣意的に不正なブロックを作成していくことが理論上可能です。(51%問題と言われます)

ビットコインでは全体のマイナーの計算能力のうちそのかなりの割合を中国の組織により占められているため、潜在的にこういった51%問題を抱えているということが言えるでしょう。


また、仮想通貨はより実用的な仕様に変更する必要性があったり、何か仮想通貨に問題が起きたときに仕様を変更する必要性があったりした場合、仮想通貨自体のアップデート(ハードフォークやソフトフォークと言われる)を行う必要性が出てくることがあります。

こういった仮想通貨自体のアップデートを行う場合、問題が起きないように開発側は事前にマイナーたちに支持を求め、多くのマイナーが指示した場合、仮想通貨のアップデートを実行する流れになります。

プルーフオブワークでは、多くの計算能力を保有するマイナーほど発言権(力)を持っているため、世界の多くの人がAというアップデートを望んでも、一部の力を持ったマイナーがBというアップデートを望めばBというアップデートが実行されてしまうこともありえます。

このようにプルーフオブワークでは、マイナーが持つ計算能力が全て、という世界なので、一部の利益のために全体の利益が失われかねないという問題もあります。


これに対して、プルーフオブステークでは、プルーフオブワークが持つ「一部の組織に集中化してしまうという問題」が起きにくい仕組みになっています。

51%問題をプルーフオブステークで当てはめると、もし不正なブロックを作成しようとする場合、最低でも51%以上の仮想通貨の保有を行わなければいけない話になりますが、51%以上の仮想通貨を保有するというのはそれだけ莫大な資金が必要になるわけなので、現実的には起こりにくい話です。

加えて、不正なブロックが作成されていく状況が起これば、その仮想通貨の大幅な下落は必至でしょう。仮想通貨が大幅に下落すれば、その仮想通貨の51%以上を保有する攻撃者が最も価格下落による被害を受けることになるので、わざわざそうまでして不正なブロックを作成していくメリットは低いといえます。


こういったように、プルーフオブステークではプルーフオブワークが抱える問題を解決しうる仕組みになっていることが大きな特徴となっています。

プルーフオブステークが抱える問題

先ほど話したように、プルーフオブステークには評価されるポイントも多いんですが、それと反対に問題点もあります。

流動性の低下

プルーフオブステークでは「たくさんの通貨を長い期間持っていればいるほどマイニング報酬が得られやすい(一番最初のブロック作成者として認められやすい)」という特徴があります。

そのため、たくさんの仮想通貨を保有してそれを手放したくないと考えるマイナーも多いと思われます。

多くのマイナーが(プルーフオブステークが採用された)多量の仮想通貨を保有して、手放さなければそれだけ取引規模が小さくなり通貨の流動性が低くなってしまうリスクもあります。

仮想通貨は通貨なのでみんなに使われるように広まってこそ(流動性があってこそ)、発展していくものだと考えられるので、プルーフオブステークのあり方はそういった意味では、流動性を低下させ、通貨の発展を抑えてしまいかねないという問題を抱えています。

イーサリアムが今後、プルーフオブステークを採用するという話

現在プルーフオブステークよりもプルーフオブワークの方がより多くの仮想通貨に採用されているのが現状です。

常に仮想通貨時価総額ランキングTOP3以内を維持するイーサリアムでも、現在プルーフオブワークが採用されています。

イーサリアムは合計4段階に分けて通貨のバージョンアップを行う計画があり、現在は2段階目が終了した段階ですが、今後3段階目のバージョンアップが行われる際、現在のプルーフオブワークからプルーフオブステークへとルールを変更すると予定されています。

現在ではまだ少数派のプルーフオブステークですが、今後イーサリアムのプルーフオブステークへの移行を機により注目を浴びてくることも期待できるでしょう。

おわりに

以上、プルーフオブステークについて色々と話してきましたが、プルーフオブワークとプルーフオブステーク、それぞれのメリットデメリットがあります。

ただ個人的には今の中国の現状を見ると、プルーフオブステークの方がより良い仕組みだとは思いますが。

今後気になった仮想通貨があれば、その通貨がプルーフオブワークなのかプルーフオブステークなのか、そういった目線でも見れるようになるとまた違った面白さがありますので、ぜひ参考にしてみてください。