「あれ?何かがおかしいぞ。。。」
それは10月18日午前2:00頃のことだった。
私はパソコンをカチャカチャといじりながら、湧きあがってくる異変を感じていた。
「World of Batttles(以下WOB)」
それは、私が参加したICOの名前である。
ひとことで言えばその内容は、「e-sports」の新たなプラットフォームを作るというものだった。
※e-sports・・・競技性の高いゲーム(格ゲーやFPS等)でプロゲーマーたちが競い合うスポーツのこと。簡単に言えば、世界で誰が一番ゲームが強いかを競うもの。
普段、色んなICO情報を見ながら心の中で「はいはいSCAM、SCAM」と思うことが多い私も、このICOにはなぜか惹きつけられるものがあった。
※SCAM・・・詐欺のこと。
インターネットの普及によってこれまで多種多様な稼ぎ方が生まれてきた。今、人気のYoutuberもその一つである。
日本ではプロゲーマーとして「ダイゴウメハラ」が有名だが、まだまだプロゲーマーと呼ばれる人は少ない。
しかし、それでも世界的にはE-sports市場は年々拡大しており、この世界初のe-sportsプラットフォームとなるWOBの開発は、今後のe-sportsのあり方を変えさらなる発展に貢献してくれるのではないか。
気付けばそんな期待をしてしまっている自分がいた。
10月18日1:00頃、ICOは始まった。
このICOにはよくあるような早期購入者特典があった。
ICO期間は4週間で、早く購入すればするほどもらえるボーナス額が大きく、初日は1ETHで1900WOBで4週目辺りになると1ETH=1000WOBといった差が生まれる。
特にICO開始後最初の1時間以内に購入した者には、1ETH=2000WOBが配布される予定であった。
心理学用語で「確証バイアス」という言葉がある。
これは、人が一度自分の頭の中で信じてしまったことに対して疑わず、良い情報に目を向け、悪い情報は無視してしまう心理現象のことである。
私は間違いなくこの「確証バイアス」に陥っていた。
今思えば、ホワイトペーパーは通常に比べて内容が薄かったし、たった4週間のICOの中で、最初の1時間以内に購入した者と4週目に購入した者とで2倍の差があるというのもおかしい。他にもいくつかあるが。
そう、普通に考えればおかしいことは頭の奥底で気付いていたはずである。
ただ、確証バイアスに陥っている私は遠くから聞こえる「自己否定」の声に耳を傾けることをしなかった。
完全に「ヤル気」になってしまっていた私は、ICO開始と同時に100万円分のETHを送付した。
海外ICOなんて9割は詐欺だなんてことは分かっている、ただ、そんなことはお構いなしだ。
「ああ、WOB。君はなんて素敵なプロジェクトなんだ。」
一切の無駄がなく流れるような手つきで、話題になっているわけでもないICOに100万円分のETHをぶちこむその姿はもう、はたから見れば完全に「ヤバイ奴」である。
「おっ、最初に買えばお得やんけ!買う買うゥ!」
救いようのないバカである。
「ふぅ、無事買えた、買えたっと。さあてたしかETH送付後、自動的に送られてくるんだったな。」
西城秀樹の「ヤングマン」を鼻歌まじりで、Wallet内にあるだろうWOBトークンの確認作業を行う。
ここで異変を感じる。
「あれ…?送られてきてないぞ?」
もちろん完全に確証バイアスに陥っているため、すぐに否定することはしない。
「大丈夫。まだ慌てるような時間じゃない。」
再び「ヤングマン」を口ずさみながらベッドに入る。つい1~2時間前までアドレナリンがビンビンに出ていた反動なのかすぐに眠ることができた。
朝起きて、WOBの公式ホームページを確認する。
ここで電流走る。
「このサイトにアクセスできません(はあと)」
このたった一文で、私にかかっていた確証バイアスの魔法は見事に解けた。
頭の中で西城秀樹が歌っている。
「♪~S・C・A・M!♪~S・C・A・M!」
「ああ、そうか。そういうことか。」
不思議と冷静だった。
「100万円を秒速で溶かす男」
そんなタイトルをつけた本を出せば売れるだろうか。
100万円があれば、ザギンでシースーすることも、ハワイで1か月遊ぶことも、Iphone8とIphone10をムダに1台ずつ持つこともできる。
だが、そんなことは考えない。
「胸を張る。手痛く負けた時こそ胸を。」
今、私がやるべきことは後悔ではない。
大事なのはこの100万円分の経験をどう活かすことで次の200万円を生み出せるか考えることだ。
どれだけ悔もうが100万円は返ってこないのだ。
頭の中で一つ一つを整理しながらどこの部分で間違えてしまったのかを分析することにした。
「自分があの時どういう心理状況で動いていたか」
「自己否定の声に耳を傾けなかったのはなぜか」
「普段なら回避できるようなミスをどうして行ってしまったのか」
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しっかりと反省し分析していった。間違いなく、この経験は私を強くしてくれた。この手痛く負けた経験は、大袈裟ではなくこれから生きていくうえで、あらゆる場面で役に立つと思っている。
そう思わなければやってられないのだ。
そして気が付けば私は今、この記事を執筆している。
私の100万円分の経験が「記事を書け」と言っている。
たとえひどく恥ずかしいこの醜態を全世界にさらすことになろうとも。
真のブロガーとはそういう存在になるべきではなかろうか。
いかに「不幸話」を「笑い話」に変えられるか。
私の「不幸話」が誰かの「学び」となれるかもしれないし、顔も名前も知らないあなたの笑顔をつくることができるかもしれない。もしかしたら同じような経験をした人にとっての救いとなるかもしれないし、ひいてはこの「発信」が、誰かの人生を少しでも変えるかもしれない。
「自身の言葉」が世界をかえる
これほどブロガー冥利につきることはないだろう。
私はそのためにブログを書きたい。みなさんの心へと響く言葉の船を編みたい。
おわりに
この私の経験からみなさん、仮想通貨を最近始めたばかりの人は特に気をつけていただきたいと思ってこの記事を書いている。
自分で仮想通貨に慣れてきたと思ってる頃が一番怖い。色んなことを知った気になっていると足元をすくわれかねない。知識を蓄えているだけじゃ自分を救えないこともある。
これからさらに仮想通貨が世界的に発展するだろうから、ますますこういった詐欺が増えていくはずだ。
トレードにおいても同じである。
一度、確証バイアスが働いてしまうと、自己否定の声に耳を傾けられなくなる。
もしかしたらそのような心理状況になるように仕向けた誰かの手のひらの上で転がされているのかもしれない。
「直感で動く」ことも時には大事かもしれない。
しかし、ともすればそれは「頭を使うことを怠っているだけ」の可能性もある。
「自身を客観視し、自己否定の声に耳を傾ける」
そんなことを胸に刻みながら、ここらで筆をおくことにしよう。ああ、ザギンでシースーしたい。
PS.「うはw可哀そうww」と思った方はぜひ下に設置してある応援クリックを押して励ましていただきたい。(笑)